世界で獣医は考えた

"One Health"の実現のため国際保健の道を歩む獣医師の日々

One Health One World

No one left behind


国家資格のすゝめ

 国際保健に関わらず、国際協力の現場で働き続けることは難しい。その最たる理由の一つは日本における国際協力人材の雇用の受け口の狭さはみなさんすでにご存じのことかと思われます。

 

 私もこの就職先の少なさには苦労をした口です。一応修士をやっていたときはJICAを第一志望に就活っぽいものをしていましたがあえなく玉砕、笑(大抵の国際協力を志望する学生の通る道かと…)。修士研究のベースがインドネシアだったため、面接の結果が出てすぐにインドネシアに飛ばねばならずそこでいったん就活は終了。帰国するころには秋募集が始まっていましたが、今度は修士論文に振り回され気づいたころにはそれも終了。後がない状況に陥っていました。

 

 焦りがなかったというと言ったらウソになります。院の同窓の子が、就職先の懇親会に参加してきた、というような話を聞くたびに家に帰っては落ち込んでいました。が、その反面どこか余裕があったのも事実です。なぜなら、私には獣医師免許があったから。就職できなかったら動物病院でしばらく働いてから転職しようと思っていました。だからこそぎりぎりまで国際協力、国際保健関係の仕事を探せたといっても過言ではないかもしれません(そして今の職場に拾ってもらえたのですから、ありがたいものです)。

 

 個人的に獣医師として働くことは学部進学時にも考えていませんでした。それでも技術は身に着けておこうということでうちの犬のかかり付け医のところで長くアルバイトのようなものはさせてもらっていましたが、それで食っていこうとは一ミリたりとも思っていませんでした。が、個人的にこれをしておいて本当に良かったと思います。

 

 国際協力を志していた学生たちが現実を知ってすべてを諦めてしまうのはこの就活という儀式があるからだと個人的には思っています。まずそもそも国際協力がメインできる仕事が少ない。日本ではJICAか日本財団のような一般財団法人、そして国際NGONPOが主なプラットフォームになるかと思いますが、まずJICAは競争率が高い。日本中の国際協力をやりたい人たちが応募をするんですから、一筋縄ではいかない。ちなみに、私の院時代の同級生(他の研究科)はこのスーパー競争率を勝ち抜いていましたが、ふたを開けてみたら彼のお父上はJICAご勤務だったようで・・・(いやね、とはいってもかれはものすごく就活頑張っていたので、それが理由とは言いませんよ、えぇ言いませんとも笑)。これは一般財団法人も一緒。NGONPOに至ってはそもそも新卒にほとんど機会が与えられていないといっても過言ではない。特に日本ではこうしたNGONPOは運営がカツカツであることが多いので、正直新卒を一から育てる余裕はないんです。だから必然的に3年以上の職務経験を応募条件にしているところが多い、そして、同じような理由で給料が低い。私の知っているとても優秀な博士課程の学生さんは、新卒でNGOで働いていたとき初任給は4万円だったと笑っていました(その時就活を始めるころだった私は全く笑えなかった)。だってその人、その時点でヨーロッパで修士号を取得した、アメリカ育ちで三か国語を流暢に操るスーパーウーマンだったんですよ?

 日本は未だに新卒一括採用が主流ですから学生たちもこの新卒カードをやすやすと捨てられない。最初は直接国際協力に関われる場に、それが難しそうだと間接的に関われそうなところ(貿易とか市場開拓とかコンサルとか)、それも難しいと結局まったく違う分野に就職することになります。

 

 これを考えるとやはり日本で国際協力を志し続けるのは難しいことなんだとつくづく思います。

 

 繰り返しになりますが、私がこの就活の壁を越え国際保健に関わるポストにつくことができたのは、いざとなったら獣医師になればいい、という大きな保険があったからだと思います。だからこそぎりぎりまで分野を変更させることなく就活が続けられたのです。

 

 これから国際協力の道に進みたいという人がいるのであれば、私は何でもいいので国家資格を取得することを強く勧めます。まずはさっきも話した通り就活の保険になる。最悪就職先が見つからなくても働ける、という安心感や心強さは自分が就活をする番になるととても実感します。

 また国家資格を持っていればある程度専門性が有るとみなされるので、国際協力の場でキャリアを積んでいくうえでも有利になると思います。

てなわけでみんな、レッツ国家資格!